イクボス塾@東海 第3回勉強会(2018年6月5日)【開催報告】
イクボス塾@東海 第3回勉強会
6月5日火曜日 トヨタ自動車さまの『ダイバーシティ推進とイクボスの取り組み』について、事例発表とディスカッションを行いました。
トヨタ自動車さまのダイバーシティ推進は、すべて“いいクルマ”づくりの実現と言う企業が最終的に目指すものへ繋がっています。ここが揺るぎないのが、まず一番のポイントだと感じました。
女性活躍推進について
これは働き方改革、男性/上司の意識改革に重点を置いており、まさにイクボスの取り組みです。例えばキャリアデザインシートを使って、本人と上司が長中期のキャリア・人生のプランを共有します。これにより、男性上司は自分とは異なったキャリアプランを知り、多様性の理解、相手への理解へ繋がります。
また、基幹職向けダイバーシティマネジメント研修では、参加した本人が自ら講師となり他の基幹職へ展開することで、より実効性のあるものになっています。
技能職に向けては、従来のシフトとは異なる夜勤のない勤務制度を導入することで女性が製造現場で働きやすい環境を整えました。実際にDVDでこの制度を利用している女性が紹介されました。 朝6時からの勤務のため、3時半に起き、2人のお子さまを保育園に送り、16時半に仕事を終え、家事、そしてお子さまの世話といった一日が紹介されました。
印象的だったのは、DVDに登場した女性が『仕事が好き、仕事を続けたい。』、『一人抜けた時の大変さは、自分も良く分かる』と語っていた点です。女性が働き続けるポイントとして、早い段階で仕事の面白さ、醍醐味を経験してもらうこと、そして他者に対する想像力があげられます。仕事を通してそこをしっかり押さえた人材を育てている点が、正にポイントだと感じました。
働き方改革について
現在実施している在宅勤務(FTL制度、Free Time and Location)について説明して頂きました。勤怠、コミュニケーション、在社義務の3点を抑え、様々なバリエーションで活用可能な内容です。
今後の課題と方向性
キーワードは“多様性”です。『多様な働き方の実現』、そして、多様な働き方のメンバーから構成される『多様なチームをまとめるマネジメントスキル向上』です。
そしてその多様性の中、いかに「One Team」を作るかで真価が問われ、その多様な視点から生まれる新価値創造が“もっといいクルマ作り”を実現すると考えています。
以下質疑応答から
■ DVDの女性なぜ『仕事が好き。』とあんなに自信をもって言えるのか
→ 制度面では両立支援制度の充実、マネジメント面では上司が部下に積極的にかかわり、ストレッチ目標を与えている点だと思います。
■ 男性の育児休業取得についての試みを教えて下さい
→ 一つの施策として、子どもが産まれる社員に対して、上司が手書きの出産お祝いレターを渡します。内容はお祝いメッセージ+育児休職取得推進です。当社は有休取得率が元々高いのですが、最近は男性の育児休職取得者も増加しています。
■ 基幹職向けのダイバーシティマネジメント研修では、どんな工夫をされていますか?
→ ダイバーシティ推進の必要性を自分事として理解してもらい、職場実践を通じて多様化する部下に対していかにOJTを上手く回していくかを修得してもらう研修をしています。
■ 在宅ワークが使える条件などありますか
→ 一定の勤務経験があり、時間管理ができる人材である事(上司の承認が必要)
が条件となります。
今回の勉強会を通して、ご紹介頂いた取り組みが、トヨタ自動車の豊田社長が言っている“もっといいクルマづくり”“人材育成”というこの2点が常に軸として貫かれている骨太の施策だと感じました。
そして、“人事としてもどれが効くか分からない。でも、試してみる、やってみる”という言葉にからも分かるように、それに向け常に挑戦している姿勢も伝わりました。
参加された企業のみなさまにとっても、気づきとなる点は多かったのではと思います。
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NPO法人ファザーリング・ジャパン東海支部では、先進企業の事例紹介を学ぶ「イクボス塾@東海」を実施しています。