イクボス塾@東海 第4回勉強会(2018年8月23日)【開催報告】

イクボス塾@東海 第4回勉強会

8月23日 木曜日、アルペンさまの事例発表と今回は南山大学経営学部安藤史江教授の『女性の就業継続・育成のための組織変革マネジメント』と題した講演、ディスカッションを行いました。

 

安藤教授は、この講演の基になった『ケア責任を負った女性の就業継続・育成のための組織変革マネジメント』と題する論文で経済産業省経済産業政策局長賞を受賞されています。

アルペン様の取り組み

アルペン様は2015年より女性活躍推進に本格的に取り組み始めました。
行動指針は『働き甲斐No.1』 で、“真”のワークライフバランスのとれた働き方の実現です。そのためのロードマップは以下の通りです。

Step1 育児・介護で辞めなくてすむ(制度面の障害を取り除く)
Step2 誰もがリーダーになれる事例を作る(女性店長・地区長を誕生させる)
Step3 男女の分け隔てない活躍の機会(昇格基準の明確化)

現在はStep2の段階で、プロジェクト体制も関係部署の部長職がプロジェクトメンバーとして参加するなど現場を巻き込む活動に発展しています。

女性を両立支援と活躍推進の両面から支援する一方で、イクボス養成に取り組んでいます。
有識者の講演の後、継続性を保つため、『IKUBOSSチェックリスト』を作成し、各職場でイクボス宣言をし、定期的に取り組みや変化を振り返ります。

またボスを支援するため、イクボスアドバイスセッションを行い、ボス自身が振り返り、プロジェクトが客観的な立場からアドバイスやフォローを実施するという実効的な取り組みです。

アルペン様が短期間に成果を上げる事が出来たのは、活動のビジョン、ロードマップが明確である事、現場を巻き込んだ継続性に力をいれていること、そしてプロジェクトメンバーの強い使命感だと思いました。

社員のみなさまも職場風土の変化を感じており(変化していると感じている社員は65%)、今後は両立を可能とする店舗運営体制の抜本的な見直し、実態に即した仕組み、制度の改革に取り組みStep3を目指すということです。

安藤教授の講演

最初に働く女性を対象としたアンケート結果から女性が育児・介護などのケア責任が発生した時、就業継続ができなかったのは組織システムに関する要因で、逆に就業継続ができたのは個人的な要因(上司の当たりはずれ、個人の能力・才覚)と分析しています。
しかし、個人任せは非効率で、根本解決と組織価値向上には、システムの変革こそが不可欠であると考え、ナドラー=タッシュマンモデルを使った組織変革の考え方をご紹介頂きました。

これは、組織を『公式組織』『人』『業務』『非公式組織』で現状把握し、相互に密接に絡み合う、4つの整合性図ることで、「根本的な組織変革の実現」が可能になるというものです。

例えば、働き方改革を推奨し、業務のやり方などを変えても、昇格するのは長時間労働をしている人だったりすると整合性は取れていないというイメージです。

イクボス養成や働き方改革は抵抗勢力も多く、また成果も求められるため、担当者はどうしても施策の実施と成果に目が行きますが、組織をシステムとして俯瞰すると、そういった抵抗勢力も4つの要素の整合性が取れていない結果だと納得できます。

もっと、知りたい方はこちらをご覧ください。
http://www.zen-noh-ren.or.jp/conference/pdf/069b.pdf

質疑応答から

■ 社内に抵抗勢力があったと思うがどう対応したか
→ 安藤先生のお話を聞き、プロセスが間違っていなかったと少し安心した。抵抗勢力もあったが、社長直轄のプロジェクトで役員を巻き込んで実行できたことが強みだと思う。また、『女性を優遇したり、下駄をはかせる対策ではなく、同じスタート地点に着けるものだ。』と説明し理解を求めた。

■ 男性の育児休業取得促進についてはどうか
→ 女性が当たり前に取れるようになれば、男性もついてくると思っている。現時点では、やるべきことがたくさんあり、優先度が高いものではない。

■ 店舗での定着率促進はどのように取り組んでいるか
→ 店舗に出勤しなければならないという固定概念が強いので、上司がシフトを組むとき要望を聞き、なるべく調整する。非正規社員も含め、みんなで助け合う気もちを醸成している。店舗としてノルマがあるので、達成のため重要なのは周りのサポート、それが出来ている店舗ほどうまく回っている
→ 年休を年間40時間まで、時間単位で取得でき、それもうまく利用している

■ 男性社員に対するケアは?
→ 女性を優遇しているのではないというところを説明して理解を得る努力をしている。例えば、女性を対象として全社ミーティングなどの開催については、女性は少ないので、女性同士が会う機会を作っているなど。女性活躍から入っているけど、目指しているところは個人の力を100%発揮できる企業、最終的にはダイバーシティ推進と説明している。

■ リーダーのモチベ―ションはどこから湧いてくるのか
→ 短時間勤務時、評価が低く、この会社を辞めようと思っていた時、このプロジェクトに抜擢された。自分の活かしどころだと思った。思っていたことが実現できるところにやりがいを感じる。いろいろな事があるが、悪阻の経験とかに比べると、出産を経験した女の強さで乗り切れた。

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NPO法人ファザーリング・ジャパン東海支部では、先進企業の事例紹介を学ぶ「イクボス塾@東海」を実施しています。

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